謹んで新年のご挨拶を申し上げます。本年も、建築家を志した原点を忘れることなく日々研鑽を積んでまいる所存です。どうかよろしくお願い申し上げます。

私がこの仕事につきましてから41年となります。この間、様々な出来事があり、その都度社会の状況は変動してきました。しかしながら、阪神淡路大震災を経験した私にとりまして、建物は安全でかつ安心できるものでなければならないというポリシーが変わることはありません。安全とは何なのか?構造や工法などはもちろんのこと、使用する材料も大切な要因と考えています。地球に有害な影響を与えない、環境に配慮することも同様です。安心とは何なのか?安心とはそこに住まう或いはそこに居る人々の心が豊かで穏やかであること。昨年来の新型コロナウィルス感染拡大の昨今、ステイホーム、リモートワークなど、とりわけ住まいに関しては、状況も考え方も変わってきているように感じています。もともと住居は人を癒し、喜びを与え、そこに住まう人が豊かな心で居られるよう、光、換気、素材などにこだわってつくってきました。今、このことの大切さをより一層強く感じています。

また、私がもう一つのテーマとして取り組んでいるのが、既存の建物を最大限に活かし、大切に守っていくということです。私は現在、商業複合ビルのコーディネーターをさせていただいております。建物は完成して終わりではなく、建物を守っていくためにメンテナンスが重要です。最適なメンテナンスのためには、機能、美観、資産面から総合的に判断し、保守をしていく必要があります。具体的には優先順位を決定し、予算、省エネ、ランニングコストを考慮しながら最善の計画、仕様を考え、コーディネートしてゆかなければなりません。私は、専門家としての立場から、大規模な修繕だけではなく、日常的な修繕や更新、また管理業務に関することも含め総合的にコーディネートをしております。建物の価値を保全し寿命を延ばしていくことは、建築家として大変やりがいのある仕事であると感じ取り組んでおります。 そして、建築の社会的側面である景観においても、その土地の風土や歴史に配慮し、これからもなお一層精進してまいりたいと思っております。 どうかよろしくお願い申し上げます。

令和3年 新春

石川 淳朗